マツエクの施術から数日後に「目が染みる」「目がチクチクする」と、お客様から言われたり自分で感じたりしたことはありませんか。「マツエク後だし、施術中に何かあったのかも…」と考えてしまいがちですが、実は原因はそれだけではないかもしれません。対処法は眼科の受診という一択ではありますが、どうしてマツエク施術数日後に目に違和感が出ることがあるのか、またどのように対策をすれば良いのか知っておくことは重要です。一度確認しておきましょう。
マツエク施術中や帰宅後などに“目がしみる”と言われた場合は、グルーの揮発成分であるホルムアルデヒドが原因のことが多いでしょう。しかし施術から2~3日後に、目の違和感を訴えられるケースもあります。すでにグルーの影響は少なくなっていると予想されるこの時期。実は目に傷がついていることが原因かもしれません。
手や足を怪我したときは、血が出たり切り傷が見えたりするなど分かりやすいものです。しかし目の傷は多くの場合、出血が見られず目視では傷がついているのか判断できません。なんとなく目がしみる、チクチクする、ゴロゴロするなどと感じることが多いようです。ではどうして目に傷がついしまうのでしょうか。
◆直接目に異物(ラッシュなど)が当たる
◆コンタクトが目に合っていない
◆目の乾燥
◆目薬による影響
◆グルーの揮発成分により炎症が生じる
直接目にツイザーが当たるということは、アイリストとしてはあってならないことです。ほとんどの人がそのようなミスはしないことでしょう。しかしマツエクやまつげが目に入ってしまうことは考えられます。施術中でなくても、帰宅後にエクステが抜けてしまい目に入ってしまうことは十分あり得ることでしょう。エクステを気にするあまり、お客様が目元を触り眼球に傷がついてしまうこともあります。またグルーが合わなければ、目に不調をきたすことも。結果的に目に炎症が生じて、数日たっても目がしみたり痛かったりする原因となってしまうのです。
マツエクサロンに来店されるお客様には、コンタクトレンズを使用している方も多いのではないでしょうか。GfK ジャパンが実施したアンケートによると、16~30歳の女性のうち約4割の人がコンタクトレンズを使用しているそうです(2015年12月11日~12月21日、16歳~60歳の36,588名に実施)。コンタクトレンズの使用は、コンタクトが目に合わないことで目を傷つけるだけでなく、乾燥するために目が傷つきやすくなる原因となってしまうことがあります。
マツエク施術中は、1~1時間半ほど目を閉じた状態になりますよね。実はこの目を閉じた状態というのは、目が乾燥する原因となっているのです。その理由を説明するために、ここで少し涙の仕組みについてお話しましょう。
涙は目尻側のまぶたの裏にある涙腺と呼ばれる場所で作られ、目に供給されます。供給された涙のうち10%は、自然と蒸発するそう。残りの涙は、目頭側にある涙点と呼ばれる場所を通って鼻へと流れていきます。ここで考えたいのが、涙腺から出た涙がどのように目全体にいきわたるのかということ。これはまばたきによって行われているそうです。
つまりまばたきが少なかったり目を閉じていたりすると、目全体には涙が運ばれず乾いた状態になってしまいます。しかしマツエク中の1時間でそこまで乾燥するの?と思われるかもしれませんね。とくに目の乾燥がすすむ原因は、コンタクトを装着したままの施術にありました。もちろん裸眼でも目は乾燥するので、注意が必要です。
ソフトコンタクトレンズは、レンズ自体が涙を吸収してしまうそう。さらにコンタクトレンズ表面から水分が蒸発してしまいます。そのためソフトレンズを装着していると、目が乾きやすくなってしまうのです。ソフトコンタクトレンズをつけたまま施術を受けていると、涙液は供給されないうえに、レンズに水分が奪われてしまいます。
施術が終わって目を開けたときに、目の違和感があるようなら目が乾燥しているのかもしれません。皮膚と同じように乾燥した状態では、それだけ傷も生じやすくなります。傷ができると、目に水が入るだけでも刺激となり、しみたり傷みを感じたりしてしまうのです。
【マツエク中に目に傷ができる原因】
もし施術2~3日経っても、洗顔すると目がしみる・チクチクすると話されるお客様は、目に傷がついているかもしれないことをお伝えしましょう。
ただし他にも、洗顔料が目に入っていることや雑菌が目に入り炎症を起こしていることなども考えられます。上記はあくまで一例。必ず眼科に行くことが重要ですので、安易に自己判断してしまわないことをしっかりと覚えておいていただきましょう。
目が乾燥してしみるのを避けるために、私たちアイリストができることはあるのでしょうか。お客様の日々の生活を見直してもらうこともひとつです。目が乾燥する原因のひとつに、スマホやパソコンを長時間使用することが挙げられています。施術前にはあまり液晶画面を見ないようにしてもらうと良いかもしれませんね。
他にも次のようなことで、目の乾燥や目が傷つくことを軽減できるのではないでしょうか。
◆テープ貼りの際、目が開かないようにする
◆コンタクトを外してもらう
◆施術前に目薬をさしてもらう
◆適切なグルーを選定する
テープ貼りを極めることは、お客様に快適な時間を過ごしてもらうために重要です。こちらの記事で、目が乾燥しないテープ貼りについて紹介しています。
コンタクトを外した方が良いことを施術前にお伝えしているサロンも多いことでしょう。お伝えするだけでなく、コンタクトを外せる用意をしておくと、お客様も外そうという気持ちになるかもしれません。
◆貸出用のコンタクトケースと保存液を用意しておく
◆コンタクトを外せる用意を持ってきてくださいと事前に伝える
施術後に目が乾燥したからと目薬をすぐにさすのは、目元が濡れてしまうため避けてもらいたいところ。でも目がゴロゴロしたまま過ごしてもらうのも、申し訳ないですよね。少しでも目の乾燥を軽減するために、施術前に目薬をさして目に潤いを与えておいてもらいましょう。施術後には目薬の代わりに、まばたきをたくさんして涙を増やしてもらうのもおすすめです。ただし、グルーが未硬化のうちに水分に触れることは白化現象の原因にもなるため、程度には注意が必要です。
グルーの選定については、操作性に加えて、カウンセリングやカルテを通してお客様に合うグルーを選ぶようにしましょう。
目の違和感がひどい場合、放置しておくことは良くありません。目が傷ついた場合でも自然治癒する能力を人間は備えていますが、ひどくなればなるほど、自然治癒は難しくなってしまいます。最悪の場合失明に繋がることもあるため、早急に眼科に行っていただき、医師による適切な判断を下さなければなりません。
お客様から施術後に「目元に違和感がある」「目がゴロゴロする」などの連絡があった場合、まずは目そのものが原因なのか、エクステが原因なのか判断することが重要です。エクステが合わずに目元に違和感がある場合にはサロンに来ていただけば良いでしょう。しかし目がしみる、充血している、目やにがたくさん出るなど、目の症状が出ている場合には眼科への受診をすすめるようにしましょう。基本的に電話などでの受け答えでは重要度がわからないことも多いので、先に眼科をおすすめするのが正しい対応と言えます。
お客様にはできるだけ不快な思いはしてもらいたくないものです。しかしアイリストをしていると、トラブルが起きてしまうことはあるといえるでしょう。そのときに適切な対応ができることが、あなたが一流のアイリストになれるひとつのポイントです。技術面だけでなく、周辺知識も深めて、頼りにされるアイリストを目指しましょう。
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